【takagawa column】カメラがないので
カメラがないので
「オンライン顔出し反比例の法則」を知っていますか?いえ、知らなくて当然です、私が勝手に考えた法則ですから! 一般の参加者を相手にオンラインイベントを何度も行ううち、私は、「顔出し」つまり「参加者がカメラをオンにして自分の顔を見せるかどうか」は、参加人数と反比例しているかも、とフワッと思ったのです。たとえば、参加者4名の座談会では、全員が顔出し。参加者15名では、5名が顔出し。参加者30名では、3名が顔出し。あれ?全体の参加者が増えれば増えるほど、顔出しの人が減っていくよ…? 考えてみれば、当然の話です。「参加者が多い」ということは、「自分の顔を見る人も多くなる」ということ。誰だって知らない多数の人に顔を間近で見られるのには、抵抗を感じます。PCでもスマホでも、ウェブカメラは顔のすぐそば。そして、ずっと顔を映しっぱなし。隣の人と距離があるオフラインのイベントに参加しているのとは状況が違います。しかも、オンラインということは、そこは(丸めたオムツや食べかけの離乳食が転がっているのが当たり前の)自宅なのです!オフラインでは「参加者がイベントに来場」しているのですが、オンラインではいわば「イベントが自宅に来場」しています。ちょっと勝手が違うのです。 いえいえ、わかります。私もオンライン講座の講師や司会を何度かしたのですが、顔が見えないと聞いてくれているのか、そもそも人がいるのかすら全然わからない!頷いて聞いてくれているのか、首を傾げているのかも不明で手応えがないんですよね。顔を見たくなってしまうのも人情です。 そこで、私も毎回「良かったらカメラオンで」と呼びかけていたのですが、ある参加者からこんな反応があったのです。「PCにカメラがついていないのでオフで失礼します」…それなら仕方ない…。他にも「子どもが抱っこで寝そうなので」「オムツ替え中なので」なんて理由もありました。…うん、しょうがない!私は顔出しを気にするのをやめました。 顔出しがないことで、いいこともありました。かえって気兼ねなくテキストチャットを送ってくれるようになり、私が話していても質問が矢継ぎ早に飛んでくるのです!答えるだけで大わらわ。イベントが非常に活発化しました。 オンラインではオフラインと全く同じように運営しようと思わず、方法を変えてみるほうが、新たな価値を発見できるのかもしれません。
編集・ライター/髙川 朋子